放射線授業事例コンテストで最優秀賞

本校理科教員・大津浩一教諭が、公益財団法人日本科学技術振興財団の主催する「放射線授業事例コンテスト」最優秀賞を受賞し、東京で授業事例の紹介をしました。

以下、発表した授業の一例です。

放射線を可視化する霧箱でクルックス管から出るX線を観察すると、1mでは細かい雲がたくさん見えますが、2m、3mではとても少なくなり、あまり変わらないことがよくわかります(写真1)。もちろん、クルックス管プロジェクトの指示に従った安全な実験です。

写真1

1m
2m
3m

クルックス管からのX線もみんなで測定しました(写真2)

写真2

放射線の強いところと弱いところの2点を検出するという課題では、各自の仮説を検証するためにいろいろなところへ行き、その測定結果をもとに発表してくれました。結果を得てのさらなる仮説の発表もありました。「授業内外の生徒たちの活動が評価されたのであり、生徒たちの受賞と言えます」と大津先生。

市邨 2023夏季サイエンスアクティビティ Part.4

2023夏季サイエンスアクティビティ(相良油田・浜岡原子力発電所)

2023夏季サイエンスアクティビティの第4弾!静岡県牧之原市と御前崎市にある相良油田と浜岡原子力発電所で実施しました。

Part.1の様子はこちらからご覧ください。

Part.2の様子はこちらからご覧ください。

Part.3の様子はこちらからご覧ください。

これまでのサイエンスアクティビティはこちら。

新旧エネルギーを訪ねる旅

8月7日、静岡県の相良油田と浜岡原子力発電所へ旅しました。

まず相良油田へ(経済産業省に近代化産業遺産として指定されています)。

「近代化産業遺産」の認定証

アニメ化もされた『Dr.STONE』で聖地にもなったこの油田は明治6年に手掘りが始まり、同年、日本で初めて機械掘りも始まりました。しかし、手掘りの井戸が多く、深さ100m以深に人が入って作業するために「たたら」という送風機で空気を送りました。

「たたら」という空気を地下へおくる足踏み式の人力のポンプ。朝から夕まで止めることができません。
こちらの建物が原油を掘り出す油井の復元小屋です。

当然火気厳禁で明かりは、太陽の光を鏡で反射させて坑内に入れたそうです。写真の屋根についている出っ張りが光を入れるところです。底では月明かりぐらいだったとか。そんな困難な採掘だったので、22人の方が亡くなったとのこと。ただし、罪人も採掘に携わったのですが、亡くなっても石仏になり、数に入れられませんでした。しかし、いい給金が払われていたとのことです。

採算が合わないので採油していませんが、今も原油は地表付近にあります。相良油田資料館の館長さんが汲み上げてくれました。

今も現存する唯一の油井です。管の中に原油が見られます。館長さんがペットボトルを入れてすくってくれます。
相良油田から産出される原油は重油成分が少ないためサラサラしています。
管の中の様子。原油を見ることができます。
すくいとった原油をペットボトルに移し換えています。日に当たると少し青みがかっています。

下の写真は同じに日汲み上げたものですが、暗いところに置いておいたものは、青く見えます。時間が経つと青みが消えるとか。桜祭りでは、この原油を直接タンクに入れてバイクを走らせています。また、ランプに直接入れても明かりが取れます。

左側が暗いところに保管した原油です。日に当たって青く見えます。この違いの理由はわからないということです。
原油は分留・精製する必要がありますが、相良油田の原油は分留しなくても火が着きます。とても珍しい現象です。

次に浜岡原子力発電所へ。

まず、展示施設の浜岡原子力館の実物大の原子炉の前で説明を聞きました。

左の青い装置が原寸大の原子炉模型です。
発電所を津波から防ぐ防波壁の原寸大模型です。海抜22メートルの高さにもなります。実際の防波壁も見学しましたが撮影はNGでした。

それから屋上展望施設で案内を受けました。セキュリティーのため、写真は不可となっています。
そして、浜岡原子力発電所へ。こちらも写真は不可。事前に申請した見学者か、身分証明書で確認です。
セキュリティーゲートでは、車体の下までチェックします。

テレビでよく見る防波壁の前で下車して見上げましたが、とてつもない高さでした。
高台には電源車やキャタピラーのポンプ車も。

5号機の運転シミュレーターを見ながら、どんな訓練をしているかの話を伺い、失敗の回廊でいかに安全を深めていくかの話を伺いました。自由見学の時に、中部電力に就職したいと生徒たちが言い出したのは、そんな仕事にプライドを感じたのもあるかなあと感じました。

古いエネルギーも新しいエネルギーも、とても困難な課題を抱えながら取り組まれていると感じる旅でした。

畑の真ん中に突き出た油井の管の前で記念撮影です。
浜岡原子力発電所の資料館前で記念撮影です。

生徒の振り返り

○まず、油田の見学については、地元の県の東隣の県で原油が取れるということが分かったことに驚きを感じました。そして、明治時代の古くからの採取方法で原油を取っていることがわかりました。そして、古くからの採取場所である小屋では、作業員さんの安全保障を上げるための大道具があることがわかりました。
そして、原子力館兼原子力発電所施設内の見学については、福島第1原発をきっかけに原子力発電所の安全性が向上していることがわかりました。そして、原子力発電所でも、数十年間で数回の失敗を重ねつつ、安全性が向上していることがわかりました。そして、東日本大震災をきっかけに、原子力発電所が災害の被害に遭わないように大きな対策が立てられていることがわかりました。

○相良油田は10人ぐらいのグループで200mを手で掘って作られていることに驚きました。また、相良以外の場所で採れた石油と色や動きなどが違っているのが不思議でした。浜岡原子力発電所では福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないために行なっている対策をすぐ近くで実際に見ることができたのがとても嬉しかったです。

○相良油田では、空気の入れ替えをしているたたらに実際に乗ってみた時に結構狭く感じて、4〜8人の夫人が乗っていたと書いてあるのに気づいた時にはこの横幅に2:2か4:4などの人数が乗っていたのかなと少し想像はできたが、一体どうやって空気の入れ替えをしていたのかは想像することができなかったのと、ランプをつけて見せてもらった時に匂いを嗅いでみたがストーブの匂いがしてなんか懐かしさを感じることができました。
浜岡原発では、津波での原発の事故を原因から教えてもらってそこからパイプのサポートを強化したり、また災害が起こった時に備えて防災訓練をしたり、様々なシチュエーションに遭遇しても最悪な事態にならないように様々な対策をしていることなどの浜岡原発の説明を聞いて知ることができてとてもいい時間だったなと感じることができた。

○初めてこの目で原油を見ました。相良油田で採れる原油は良質でさらさらしていることや想像していたよりも簡単に採取できることなど多くの驚きがありました。特に青みがかった赤褐色をしていることが1番驚き、不思議に思いました。原子力発電所では発電所内の構造や原子力発電方法などを知ることができました。5号館内を見学した際に入れてもらった部屋には今まで起こった事故や失敗を当時の新聞や写真、実物をもとに記録しており二度と同じ失敗を起こさないという意志が伝わりました。どれも貴重な体験で楽しかったです。

○今回は原子力発電所の中がどのようになっているのかをしれました。また発電所での失敗を活かすための施設から過去にどのような事件があったのかを知ることが出来ました。今回の見学で原子力発電所の理解が深まるいい経験となりました。
そして油田ではどのように原油が取られているかをしれてその仕組み自体は簡単であることにびっくりしました。実物を見ることで油田や発電所の知らなかった部分を多く知れて楽しかったです。

○私は、今回の見学を通して原油の採取方法や原子力発電の安全に向けた取り組みについて知ることができました。
相良油田では、今でも畑の中にあるパイプから原油が採れることに驚きました。今回、見させていただいた原油は世界的に見ても良質なものであり、同じ原油でも、採取できる場所によって、色や成分が違うことが分かりました。原油は、中東諸国で採られているイメージがありましたが、日本でも採取できる場所があることを再認識できました。
原子力発電所では、福島第一原発での事故をきっかけに安全に運営するための多くの取り組みが行われていることが分かりました。原子力発電では、効率よく発電できる反面、安全面に関して不安があるものだと思っていました。しかし、通常の建築物よりも丈夫な部品や構造によって、安全な施設がつくられていることが分かりました。
今回は、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

 

 

市邨 2023夏季サイエンスアクティビティ Part.3

2023夏季サイエンスアクティビティ(核融合科学研究所)

2023夏季サイエンスアクティビティの第3弾!岐阜県土岐市にある核融合科学研究所(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構)で実施しました。

Part.1の様子はこちらからご覧ください。

Part.2の様子はこちらからご覧ください。

これまでのサイエンスアクティビティはこちら。

未来のエネルギーを支える技術開発の最前線研究を探究

核融合科学研究所での実習も今年で7回目を迎えました。初めて参加する生徒だけでなく、3年連続で参加する生徒もあり、生徒の好奇心を喚起する実習として定着してきています。将来の研究分野や進路目標に大きな影響を与えています。

8月4日(金)に岐阜県土岐市にある核融合科学研究所で科学実習を実施しました。実習内容は以下の通りです。

1.核融合エネルギー研究に関する講義
2.核融合科学研究所の施設見学
3.各テーマごとの実験実習
4.実習の成果報告会

核融合エネルギー研究に関する講義

石油や石炭など火力発電に関する「資源枯渇問題」・原子力発電に関する「廃棄物処理問題」を解決する次世代エネルギーとして研究が進む「核融合エネルギー」についての講義を受けました。核融合エネルギーとは太陽などの恒星が原子を融合させたときに生じるエネルギーです。燃料の重水素は海中にほぼ無尽蔵に存在するそうです。発電中の安全性、発電後の廃棄物の安全性についてもしっかりと説明していただけました。今後は約30年後の実用化に向けた研究を実施していくそうです。

日本のエネルギー課題や核融合発電についての講義

核融合科学研究所の施設見学

核融合科学研究所内の各施設を見学させていただきました。廊下の壁には施設建設の歴史・核融合反応の説明パネルがあります。また、実験スペースでプラズマに関する実験を体験することができます。プラズマとは、原子がイオンと電子に分かれた状態です。

実験機器や施設の歴史についてまとめられたパネル。現在の実験機器は第6世代です。
現在の核融合炉の実物大のカットモデルです。コイルを巻く研究のために作成されました。
核融合炉の制御室内に入れてもらいました。実験日にはモニタに核融合炉内の様子が映し出されます。この制御室は映画やドラマの撮影に使われることがあるそうです。

実験実習の様子(プラズマの電気計測)

筆者は「プラスマの電気計測」の実習に参加しました。プラズマを発生させた装置に電極を差し込んだときに回路に流れる電流を測定します。中学校までに習う知識では、電流は電圧に比例します(定数は1/R)ので、直線で表せます。プラズマではどうなるかを測定するとそれとは大きく異なります。生徒たちはこの違いを話し合って探究していきます。また、プラスマの中に入れる電極を、棒状のものから板状に変えてみます。板状の電極の向きによっても電流の流れ方が異なります。とても面白い現象で、この現象を探究するために横浜の高校生が来所していました。同じ高校生同士で刺激を受け合っていました。

今日の実験について説明を受けました。また、課題も与えられました。
実験機器の使い方とデータの扱い方を教えていただきました。

実習の成果報告会

実習は「プラズマの電気計測」、「コンピュータシミュレーション」から1つを選択して実習しました。これらの研究は核融合研究には欠くことのできない技術です。実習後は各自の実習結果を報告しました。

プラズマの電気計測の結果とその考察を発表しました
コンピュータによるシミュレーションの方法とその意義について説明しました

すべてのプログラムを終え、全員で記念撮影し帰路につきました。お忙しい中、ご協力いただきました核融合科学研究所の皆様には感謝申し上げます。

核融合科学研究所の前で記念撮影

参加生徒の振り返り

○今回で3回目の参加なのですが、過去の参加経験と核融合の記事を読んだことにより、より深い学びを得られました。今回特に印象に残ったのは、装置内の温度を計測する方法として熱電対を使っている事です。熱電対という手法は初めて聞いたので、ネットで調べました。また新しい知識を得られて嬉しいです。また、私はB班だったため、コンピューターシュミレーション実習を受けました。プログラム言語を用いて視覚的に事象を検証できることが素晴らしいと思いました。この実習で私は、将来プログラム言語を学びたいと思う気持ちが強くなりました。
3回目の研修参加はとても有意義なものになりました。関係者の方々、本当にありがとうございました。

○講義では、日本はまだまだエネルギー資源を石油や天然ガスに頼っていること、それが問題になっており、そのために核融合発電の開発に期待がされていること、核融合発電の原理、利点、課題がわかりました。プラズマの電気計測では、プラズマが発する光から物質を特定でき、それが恒星を構成している物質の特定につながっていることに驚きました。また電気計測をするだけでプラズマの密度や温度がわかることを学びました。僕は今回のことでさらに科学への興味や関心を深めることができました。貴重な体験をさせてもらい、ありがとうございました。

 

 

 

市邨 2023夏季サイエンスアクティビティ Part.2

2023夏季サイエンスアクティビティ(西名古屋火力発電所)

2023夏季サイエンスアクティビティの第2弾!飛島村にある西名古屋火力発電所で実施しました。

Part.1の様子はこちらからご覧ください。

これまでのサイエンスアクティビティはこちらからご覧ください。

かつてギネスブックに登録された高効率の火力発電所を見学

8月3日、朝学校に集合し、貸切バスで西名古屋火力発電所に向かいました。西名古屋火力発電所に到着し、株式会社JERAの方から火力発電に関する講義をお聞きしました。このお話の中でJERA様が世界最先端のエネルギー・ソリューションを日本に導入し、日本が直面するエネルギー問題を解決すべく、さまざまなことに取り組まれていることを知ることができました。

JERA様からの講義を受ける参加生徒たち

そしていよいよ世界最高峰の発電効率を誇るという発電所の見学をさせていただきました。発電施設の下に来ると迫力と建物の近代的な造りに圧倒されました。

ヘルメットをかぶり、いよいよ発電施設に入ります。

発電施設の中では発電するときに出る熱と音を実際に感じることができ、非常に良い経験をすることができました。私たちが普段使っている電気がこのように発電されていることを間近で体験できたことは私たちの今後の日常生活を豊かにしてくれると思います。

西名古屋火力発電所はコンバインドサイクル発電で、ガスタービンと蒸気タービンで効率的な発電ができます。
天然ガスの燃焼による熱とタービンが回るときに発する音を実際に聞きました。

見学が終わり、質疑応答の時間をとっていただきました。たくさんの生徒が疑問に思ったことを質問していて非常に有意義な時間になりました。ご丁寧に説明・対応いただいた株式会社JERAの皆さまありがとうございました。

以下、生徒の感想

◯本日は火力発電について私たちの知らない情報を教えてくださりありがとうございました。水素はクルマなどでも活用されているので知っていましたが、アンモニアが次世代の発電に期待されていることは知らず、驚きました。そして、排出された二酸化炭素の4割は火力発電によって排出されているのに、あと20年でゼロにするという目標を達成するため様々な努力をされていることがお話を聞いてよく分かりました。電気は日常生活を送る上でとても大切なものですから私たちが何気なく使っている電気がどのように作られているかを目で見て知ることができてとてもいい経験になり、私自身も発電に興味を持ち始めることができました。今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

◯私は今回の見学を通して、火力発電は未来でも安心して活用できることが分かりました。火力発電は、他の発電方法に比べて効率が良いものの、二酸化炭素を多く排出することからこのまま使い続けても良いものだろうかという疑問がありました。しかし、火力発電でも燃料として、水素やアンモニアを利用することによって将来的には二酸化炭素を排出しないで発電できることがよく分かりました。また、実際に現場に行ってみることによって自分で調べるだけでは分からない、施設の大きさや音、暑さを体感することができ、とても良い経験になったと思いました。今回は貴重な時間をいただきありがとうございました。

市邨 2023夏季サイエンスアクティビティ Part.1

2023夏季サイエンスアクティビティ(瑞浪化石博物館とサイエンスワールド)

2023夏季サイエンスアクティビティの第一弾として、岐阜県瑞浪市の化石博物館とサイエンスワールドで実施しました。

これまでのサイエンスアクティビティはこちらから

瑞浪化石博物館の野外学習地で化石発掘に挑戦!

8月1日(火)、朝9時にJR瑞浪駅に集合し、野外学習地で化石発掘を体験しました。土岐川の河川敷に現れている砂岩が露出しています。平タガネを金づちで打ちつけながら砂岩を割っていきます。岩のかけらをよく観察すると無数の貝化石を見ることができます。アサリやシジミの二枚貝や巻き貝などを慎重に削り取っていきます。木片や葉の化石も見られます。

名古屋市内のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の学校もほぼ同じプログラムで実習していました。

大小様々な化石の含む岩を剥がし取っていきます

約2時間の発掘のあとは、化石博物館で日本列島の成り立ちなどを学ぶことで、海から遠い瑞浪市で海産生物の化石が発掘される理由を探っていきます。化石博物館が建っている地面の下には地下壕が掘られていて、その天井や壁面にも無数の貝化石を観察することができます。夏でもひんやりとした地下壕でした。

これだけの貝化石が見られる理由を探っています。

昼食後は、隣接するサイエンスワールドではサイエンスショーを始めとするたくさんの科学実験を間近に見たり体験できて、生徒たちの学びは一層深まりました。

夏季サイエンスアクティビティは、このあともPart.2〜4まで続きます。

参加生徒 22名

◯今日のサイエンスアクティビティでは化石発掘を通して過去に生きていたその生物、植物について知ることができ、化石博物館では岐阜県一帯の地形、そこに住んでいた生物について詳しく学ぶことができました。かつての岐阜県あたりは海だから、ここでサメの化石や貝化石が見つかるということをあらためて理解しました。今日はとても良い学びになりました。

◯初めて化石掘りを体験しました。うまく掘れませんでしたが楽しく貴重な経験ができました。化石博物館では動物や貝殻、植物など多くの種類の化石を見ることができました。化石を掘るのは難しいとわかったあとに見たそれらはより凄く感じました。サイエンスワールドではショーを見ながら楽しく重力や揚力などの力について学ぶことができました。いろんなことを知り楽しい一日でした。

 

2023夏 理科出前授業(放射線)

日本科学技術振興財団の加藤太一先生をお招きして、高校2,3年生と中学3年生を対象とした放射線に関する出前授業を行いました。今年の2月に実施した内容を踏まえたアドバンス編です。(高校3年生はさらに進んだ内容を学びます。

出前授業の流れは次の6点です。

  • 前回の内容の復習
  • ドライアイスを用いた雲の発生
  • 霧箱の作製
  • 作製した霧箱に放射性物質を入れて観察
  • 霧箱を使えば放射線の軌跡を見ることができる
  • 放射線・放射能・放射性物質について正しく理解しよう

     

    2月の基礎編では、放射線は「見えない」「におわない」「聞こえない」などのないない尽くしであることを学びました。また、霧箱を用いて自然放射線の観察を行いました。

    今回は、その霧箱を生徒自身で1人1つ作製します。

     

    最初に雲ができる仕組みについて考えます。(霧箱で放射線の軌跡を見ることができる仕組みに繋がります。)ドライアイスを水の中に入れると、雲が発生します。

     

    実際に雲が発生する上空約1万メートルを飛ぶ飛行機で、「機外の温度は-64度」と表示されていたことを紹介します。雲の発生には水(水蒸気)と低い温度が関係しているということがわかります。砕いたドライアイスを勢いよく空中に撒くと、空気中に含まれる水蒸気が急激に冷やされ雲が発生しました。多くの生徒が驚き、拍手をしています。

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    雲ができる仕組みについて理解したうえで、霧箱の作製に移ります。

    黒色の紙を敷いたシャーレにスポンジを取り付け、エタノールを含ませます。

    蓋をして中をエタノールで充満させてドライアイスで冷却します。(中は雲ができやすい状態になります。)

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    理科では、対照実験の考え方がとても大切です。最初に霧箱の中には何も入れずに観察し、特に何も見えないことを確認してから、放射性物質であるモナズ石を入れて観察します。すると、飛行機雲のような放射線の軌跡を観察することができます。

    続いて、モナズ石を取り出し、霧箱の中にラドンガスを注入します。再び十分に冷却されると放射線の軌跡をたくさん観察することができます。しかし、時間が経つにつれて、観察できる放射線の軌跡が減っていきます。しばらくすると、観察できなくなりました。

    ここで放射性物質の半減期について学びます。最初はたくさん観察できていた放射線の軌跡が観察できなくなったのは、今回注入したラドンの半減期が約55秒なのが関係しています。

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    最後に、「放射線は直接見ることはできないが、霧箱を用いて飛行機雲のように軌跡を観察することはできる。」ということや、ベクレルとシーベルト、内部被ばくと外部被ばくなどについて再確認しました。

    今年の2月に実施した内容のアドバンス編として、生徒自身で霧箱を作製し、放射線の軌跡を観察することができました。理科といえば実験、生徒は楽しそうに手を動かし、積極的に放射線の軌跡をiPadで撮影をしていました。お世話になった皆様、ありがとうございました。

 

中2理科・高1物理基礎 放射線を見る! 

日本科学技術振興財団の加藤太一先生をお招きして、高校1年生と中学2年生を対象とした出前授業を行いました。放射線・放射能・放射性物質について考える内容です。また、授業サポートとして中部原子力懇談会の内田様と池戸様にもご協力いただきました。

◯時間の流れは次の6点です。
1.放射線とはなにか
2.放射線はいろいろなところにある
3.目には見えないが測定器線量計で測定できる
4.放射線の量をしっかりと測るためには、何度も測定する必要がある
5.霧箱を使えば放射線の軌跡を見ることができる
6.放射線を正しく知って、誹謗中傷・差別のない社会をつくっていこう

放射線は、「見えない」「におわない」「聞こえない」などのないない尽くしですが、測定器を使えば測ることができます。生徒はひとり1台の測定器を手に取りました。スイッチを入れるとすぐに線量率計の数値が上がっていきます。身の回りを放射線がに飛び回っているのです。

その後、「花こう岩」 「船底塗料」 「カリ肥料」 「湯の花」 「塩(塩化カリウムを含む)」から出る放射線量率を、グループで協力して測定しました。測定した試料の中では、船底塗料が最も放射線を出していました。ただ、船の底にふじつぼ等がこびりつくのを防いでいるのは放射線ではありません。

放射線や放射能、ベクレルやシーベルトなど、放射線に関する「キーワード」について説明したカード(読み札)を、あてはまる箇所に置いていきます。グループで話し合いながら進めると、1枚のカード『放射線は人にうつることはありません』が残りました。正しい知識をもって、誰かがを傷つけることがないようにというメッセージです。

最後に霧箱を用いて、自然放射線を観察します。エタノールを充満させた箱をドライアイスで冷却することで、飛行機雲のように自然放射線の軌跡を観察することができます。生徒たちはiPadで神秘的な写真を撮っていました。

放射線は「正しく知り、正しく怖がる」ということが大切だということを学ぶことができました。ありがとうございました。

今回は初級編ですが,中級編として加藤先生には去る7月にも,中学3年生と高校2年生の文理コース理系と特進コースに対して授業をしていただきました。お世話になったみなさま,ありがとうございました。

 

Ichimura Science Camp 2022 in winter

伊豆大島で3回目のScience Camp 2022 を実施しました

2022年12月24日〜26日の二泊三日、伊豆大島の三原山をフィールドにしたサイエンスキャンプを実施しました。コロナ禍で2年間は宿泊を伴う行事はできませんでしたが、3年振りに伊豆大島でのサイエンスキャンプを実施することができました。高校生8名(引率教員3名)が参加しました。

第1回 サイエンスキャンプ2018の様子はこちら
第2回 サイエンスキャンプ2019の様子はこちら
本校で開催している「市邨サイエンスアクティビティ」

クリスマス寒波が襲来した24日(土)でしたが誰一人遅れることなく名古屋駅に集合し朝6時46分の新幹線に乗り込みました。車窓は雪景色に変わっていました。私たちの新幹線は名古屋始発ということもあり定刻通りに発車しました。熱海駅で降り、熱海港で9時10分発のジェットフォイル(高速船)に乗り換える予定でしたが、寒波による強風で欠航となり、12時30分の臨時便にスライドされましたので熱海市内を観光することにしました。熱海港からアタミロープウェイで熱海城・トリックアート美術館へ向かいました。

全面ガラス張りのロープウエイに乗り込みます。高所恐怖症にはキツイです。
山頂駅から熱海市街を背に記念撮影。風が強く海が荒れています。
トリックアート美術館には不思議がいっぱい。あっという間に時間が過ぎていきます。

11時50分に港に戻り、12時30分の大島行高速船に乗りました。東海汽船の高速ジェット船はジェットフォイルと呼ばれる水中翼船で、海水をジェットエンジンで吹き出しながら進みます。船体が海水面を離れるため揺れが少なく快適です。約45分で大島(岡田港)に到着です。

大島と熱海をつなぐジェット船
船内はいたって快適です。水面を飛ぶように進みます。

一日目は島の到着時間が遅れたため、予定していた火山博物館の観覧を三日目へ変更しました。島のスーパーへ三日分の食材を買いに行きました。サイエンスキャンプは自炊です。

「げんろく」は島民からも愛されているスーパーです。食材も豊富です。
12月24日ということもあり、食後は島の洋菓子店で購入した11個のカットケーキを食べました。ルーレットでケーキを選ぶ順番を決めました。
筆者は4番目に選ぶことができました。

後片付けのあとは星空観察です。名古屋から持参した2本の望遠鏡とiPadにインストールした「星座表アプリ」を駆使して冬の星空を見上げました。12月22日から31日まで、太陽系のすべての惑星が並ぶ「惑星パレード」が観察されました。冬の星座でおなじみの「オリオン座」「おうし座」「冬の大三角」もしっかり観察できました。オリオン大星雲は望遠鏡で観て感動でした。

オリオン座
カシオペア座

二日目は三原山の植生調査とトレッキングです。グローバルネイチャークラブの西谷香奈さんに案内していただき、三原山の植生と溶岩の歴史を教えてもらいました。西谷さんの軽快な問いかけに参加生徒たちの目はいきいきと輝いていました。市邨高校では噴火年ごとの溶岩に植物が生えていく様子を調査しています。今回も方形区をつくり植物の様子を記録しました。3年前よりも遷移が進んでいるように見えました。伊豆大島の植生調査をされている上條教授(筑波大学)の調査隊にお会いしました。

サイエンスキャンプ参加者とガイドの西谷さん
三原山から流れ出たパホイホイ溶岩。サラサラした溶岩です。
1986年に火口から流れ出た溶岩も36年の間に大きく変化してきました。溶岩の上に植物が生えています。
1986年の溶岩は粘り気があるアア溶岩。ゴツゴツした溶岩で歩きにくいです。10m☓10mの方形区を2つ作りその内部の植生を調べます。
山の斜面から水が滲み出て氷柱ができていました。水がタケノコのように成長して上に伸びる「氷筍(ひょうじゅん)」を西谷さんが見つけました。生徒にとっても初めて見る氷筍でした。
伊豆大島の海水から作った塩を用いた塩飴を西谷さんからいただきました。適度な甘さと塩加減が歩き疲れた体に染み込んでいきます。
三原山頂にある三原神社の鳥居から見た富士山が綺麗でした。
三原山火口を一周するコースを歩きます。通称「お鉢めぐり」です。ここから見る火口は圧巻です。
火口の前で元気よく記念撮影
火口を一周歩きます。絶景です!
山の稜線で作られたカクテルグラスに浮かぶ伊豆諸島の島々
今日はいつもよりも噴気が多いとのことです。
参加者の影で記念撮影。
3年振りにジャンプにも挑戦。うまくできました。
小石状の噴石のベッドで15分間の休憩です。足を斜面の上に向けるとあしのむくみが取れるとのこと。気持ちよかったです。西谷さんから大島名物の牛乳煎餅をいただきました。
倒木の根を観察してみる。根は硬い溶岩のために地面の下へ伸びることができず横へと広がります。
樹木の横しまは動物園から逃げて島内に広く棲み着いたタイワンリスの歯によるもの。伸びる歯を削っているようです。
溶岩ストローの跡です。流れ出た溶岩の表面だけが冷えて固まり、内部は熱い溶岩が流れるため、ストロー状の溶岩になるそうです。伊豆大島には島内にいくつもの溶岩ストローがあるようです。
今日のツアーを終えて太陽が西の水平線に沈む頃
ピンク色の雲が綺麗でした。

朝8時30分から午後4時までの約7時間の三原山ツアーでした。植物・溶岩・遷移・鳥・島の歴史など、ツアーガイドの西谷さんからとても多くのことを学ぶことができました。生徒の多くは初めての伊豆大島三原山でした。教科書で見ていた世界を実際の目を通して見て、手で触れて感じ取ることができ、実際に体験することの大切さを実感できたようです。西谷さん、ありがとうございました。

三日目は島内散策です。荒天で一日目に見学できなかった火山博物館、巨大地層群、波浮港、筆島を観察しました。火山博物館は1986年の噴火を後世に伝えるために作られた唯一の火山専門博物館です。巨大地層群は別名「バームクーヘン」と呼ばれています。道路建設中に発見され保存されています。伊豆大島の火山噴火にともなう火山灰が層状に積み重なっています。波浮港は沈下した火口を港に作りかえこともあり、水深は200mを超えるほど深いそうです。周囲を高い山に囲まれている地形のため強風に強く、江戸時代から昭和初期まで強風から退避する船の停泊港として栄えていたようです。筆島は火山の火道が硬い溶岩として残り、火道の周囲は波によって削り取られたようです。火道の岩石が筆のように界面に突き出ています。

国内唯一の火山専門の火山博物館
火山灰が積み重なってできた巨大地層。1km続いています。
バス停の看板にも「バームクーヘン」と書かれています。フォークも刺さっています。
円形の波浮港。火口の名残を見ることができます。
海面に突き出た岩の塊。硬い岩石だけが波に侵食されず残りました。

参加者の振り返りは順次記載していきます。

◯私は今回のサイエンスキャンプで多くのことを学び経験することができました。二日目に三原山に登ったときに見た火口がどのように形成されたのか?それができるまでにどのような経過があったのかを知ることができました。また、今回のサイエンスキャンプを通して実際に現地に行き自分の目で見てそれに触れて学ぶことの大切さ、そこから新たなことを知り興味を持つことの大切さを改めて感じました。

◯私は今回のキャンプを通して、普通の活動では体験できないようなことを沢山経験することが出来ました。私はあまり火山の仕組みや植生について詳しくはなかったのですが、三原山での活動でガイドさんの丁寧な解説の元、実際に目で見て、手で触って火山の特徴を知ることができ、貴重な経験になりました。また、火山の活動以外にも、貸別荘での集団生活などいつもの旅行では絶対に経験しないことができ、とても新鮮で楽しかったです。今回の活動から気になったことに対してまず行動し、経験することが大切ということを学ぶことが出来ました。

◯今回初めてサイエンスキャンプに参加しました。とても楽しかったです!山に登って火山を見に行ったり満天の星を見たりみんなで自炊をしたり大変なこともありましたがとても驚きや新鮮なことばかりで充実したキャンプになったと思います。実際に見て、触って、感じて、初めての体験が沢山ありました。今回みんなと活動して行く先々で多くのことに興味を引かれワクワクも沢山ありました。また次のサイエンスキャンプがあれば是非参加したいと思います!

◯今回初めてサイエンスキャンプに参加しました。初めてのサイエンスキャンプに緊張したことがありましたが、伊豆大島の自然についてたくさん学べたことがあったのでとても楽しかったです。特に楽しかったのが三原山火山の散策です。ガイドさんにたくさん質問してたくさんのことを学べたのがとてもよかったです。今回のキャンプを通して又参加したいと思いました。

◯今回初めてサイエンスキャンプに参加しましたが、最初の頃は何をするのかなどでとても緊張していました。ですが伊豆諸島の様々な自然を学んだりできてとても良かったです。特に火山の散策ではとても景色が綺麗でとても楽しかったです。また実際に見たり、聞いたりする事で更にそのものについて理解が深まりましたもし次回もあれば参加したいです。

◯初めてのサイエンスキャンプで不安もありましたが、その不安は初日でなくなりこれで最後の参加となるのが惜しいと感じる3日間でした。今回のサイエンスキャンプを通して伊豆大島の成り立ちや植生の遷移について深い学びを得ました。特にどのような植物が一次遷移の後先駆植物となるのかが自分の中で1番驚いた内容でした。また三原山にて初めてカルデラを見たのも印象に残っており波浮港を見た時はまるでカルデラ湖のようだなと感じたのを覚えています。サイエンスキャンプに参加するのは最後になりましたが、また自分自身でどこか別の場所に自然観察に行くのも良いなと思うきっかけになりました。

 

2022年最後の満月と「衝(しょう)」の火星

月は約1ヶ月に1回の割合で満月になります。アメリカの農事暦では満月に名前がついています。12月に見られる満月を「コールドムーン Cold Moon 」と呼ぶそうです。他にも1月から11月の満月にも呼び名があります。調べてみてください。

さて、今回の満月と同時に「衝(しょう)」を迎えて最も明るくなった火星を見ることができます。明るさはマイナス2.0等星です(地球に最も接近したときでもマイナス1.9等星なのです。火星と地球は12月1日に最接近しました。)。「衝」とはどのような天体現象なのでしょうか。

「衝」を迎えた火星と満月

「衝」とは、太陽系の天体が地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことです。月が満月になるように太陽系の惑星にも正面から光が当たります。これを「衝効果」と呼びます。今回は火星と地球の最接近直後ということもあり、最も明るい火星となりました。明るさの度合いが異なる満月と火星と同時に撮影することはとても難しいです。

 

『中学校理科で使える高校理科の技術』講座を開催

8月26日(金)、本校の化学教室にて中学校理科教員向けの研修会『令和4年度 「中学理科で使える高校理科の技術」講座』が開催されました。

大阪公立大学准教授・秋吉優史(まさふみ)先生を講師にお迎えし、クルックス管の安全性についてお話しいただき、また、安価な霧箱の作成のご指導をいただきました。

100均にも売っている安価な材料を使い、特殊な加工も必要ないので、だれでも手軽に製作できて、参加された中学校の先生もむき出しの原理に納得されていました。

掃除機で吸引した空気中の埃からの放射線を観察しました。
さらに、その放射能が低減する様子をリアルタイムの測定で示していただきました。

加えて本校理科教員・大津先生による霧箱でのミュー粒子の検出と濃度別砂糖水での光の屈折実験も体験していただきました。レーザーの光が屈折だけでなく、ホイヘンスの原理に従って曲がっていることが観察できました。

当日は20名ほどの先生方に参加していただくことができました。中には以前の研修会にも参加していただいた先生もいて、参考になったという意見も多くいただくことができました。ご来校いただいた先生方、誠にありがとうございました。